病院で白衣を着たままヘアカットをした話

段、急性期の病棟に勤務しています。

2021年2月某日

すごくほっこりした出来事がありました。

コロナ禍で面会が出来ない中、

ナースステーションの前で、ある患者様の家族からハサミ・バリカンなどカットするセット一式を持参してこんな相談がありました。

「すみません…。あのー…。できたら○○の髪を切ってあげて欲しいんです。昔から髪の毛にはうるさい人で月に一回は必ず髪の毛を切っていたので。もう3ヶ月以上髪の毛切れていなくて伸びっぱなしなのが可哀想で…。」

と。

当病院は、コロナ禍で面会が全面禁止となっており、面会できる方法はオンライン面会というシステムのみでした。

その上、訪問美容師などの訪問もNGとなっている状況でした。

そしてA氏(通称A氏とします)本人はというと

急性期には当時、入院していましたが終末期の患者様で緩和ケア病棟に行くかどうか…というような状況の患者様でした。因みに体は不自由でしたが意思疎通などははっきりしている方です。

体にはストーマ・膿瘍ドレーン(持続吸引)・尿カテが挿入されており、ADLも大分落ちていて、正直車椅子に乗ることすらも大変な状況ではありました。

家族の相談時私はナースステーションにおらず、他の患者様の持続点滴の交換をしていました。

その訴えを聞いたスタッフが

「確認しますので少々ラウンジでお待ちください」と家族に話し、

私の元へ一直線に相談しにきてくれました。

私が美容師免許を持っていることは周知の事実だったのでわざわざ話しに来てくれました。

私に向かって担当Nsが

[chat face=”woman1″ name=”” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]Onくん!いきなりなんだけどさ。良かったら○○さんの髪の毛切ってくれない?○○さんの家族がどうしてもってお願いをしてて!道具もあるの!私もそういう願いは叶えたいんだけどOnくんが切った方がきっと喜ぶよね。点滴とか後は周りでやっておくからお願いできる?[/chat]

というような話があり、

私が実際に家族のもとへ出向き、挨拶をすませました。

家族から

[chat face=”woman2″ name=”” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]いいんですか!本当に嬉しいです。ありがとうございます[/chat]

とすごく喜んだ表情が見え、私の気持ちにも火がつき、「A氏の以前の写真を見せてもらえませんか」とお願いをし、実際に以前の写真をみせて頂きました。

そして、

[chat face=”man1″ name=”” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]それにできるだけ近づけます![/chat]

と高らかに宣言し、いざカットをすることになりました。

私はもちろん認定看護師でも特定行為の看護師でもありません。

でも髪は切れる看護師です!

家族から道具を預かり、A氏のもとへ向かいました。

まず、A氏の全身状態やドレーンの屈曲などに気を配りながら車椅子へ移乗を行い、眩暈などの確認。そして、恐らく長時間車椅子に座っているのはA氏にとってかなり負担があると気づいたので自分の持てる限りのカットスピードでできるだけ早く刈り上げて、ベリーショートスタイルにしました。

一通りのカットを終えて、A氏に鏡で見てもらうと

なんとも言えない笑顔を見せて、

 

[chat face=”man3″ name=”” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]ありがとう[/chat]

 

と言って頂けました。

それだけでも私は切って良かった。と思える出来事でした!

車椅子で病室に戻ろうとすると

家族がラウンジから遠く見えるA氏を見ている姿が見えました。

残念ながらそれ以上近づいて会えることは叶えられませんが、それでも髪の毛が短くスッキリした姿を見て、家族が喜んでいる姿が見えました。

終わってA氏をベッドに移乗し、カットセットを家族のもとへ戻しに行くと、

家族は涙ぐみながら

[chat face=”woman2″ name=”” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]本当にありがとうございます…お願いするのも申し訳なかったのですが、言ってみて良かったです!これでA氏もスッキリしたと思います。[/chat]

と話して頂けました。

一通りの流れを経て、これが

私のできる最大の看護

なんじゃないかなと実感した日でした。

きっと、私のような人間でも看護師美容師として必要としている方がもっといるんじゃないか…そう思わせてくれた一つのきっかけでもありました。

以上

ほっこりしたエピソードでした^^

https://onblog2021.com/?p=410


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